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リズムがわからない原因は拍にあり!読む前に拍子記号、確認してますか?
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こんにちは。
ピアノ講師の“やまもりのくま”です♪

ピアノ初心者の方に向けて
楽譜の読み方を解説しています。

 

「音符の形は秒数を表しているわけではなく、長さの比を表している」ということを、この音符は何秒伸ばすの?音符の名前と音の長さの読み方音符にある点「・」どう弾くの?スタッカートと付点についてのページでお伝えしてきました。

今日はその「音の長さの考え方」をふまえて、
音楽の横の流れ、「拍(はく)」と「拍子(ひょうし)」についてお話します。

 

この「拍子」は、その曲の大まかな性格を決めるようなもの。
「拍」はそのための要素です。

 

よく、「リズムがわかりません」と相談を受けます。
この質問は、ほぼ音の高さが正しく読めている生徒さんからも、よく聞かれます。

 

もし、あなたが正しいリズムを理解し弾けるようになりたいと思われるのであれば、
まずはこの「拍」と「拍子」の意味を理解し、体で感じることが必要となります。

 

なぜなら、リズムは拍の上に乗っかっているから。
拍子を感じることで、リズムもわかりやすくなります。

「リズムがわからない」の原因は、音の長さを正しく把握できていないということだけでなく、
実は「拍子」を体感できていないことにあります

 

そして、五線譜を用いた楽譜で拍子のない楽譜は、まずありません。
拍子がなければ曲は前に進まないのです。

どんな曲を弾くにあたっても付いて回る問題である、ということです。

 

このページでは、拍や拍子の基本的な考え方について触れていきます。

順を追って話を進めますので、少々長くなっておりますが
最後まで読んでいただければ「拍ってなんだかよく分からない…」とあなたが感じてしまう理由が明らかになります。

 

先ほどの「リズムは拍に乗っかっている」というのがどういうことなのか、も分かります。
ぜひ最後までお付き合いいただければと思います。

 

それでは早速、「拍」とは何か、「拍子」とは何なのかについて見ていきます♪

拍(はく)って何???

まずはこちらをご覧ください。


ヨハン・シュトラウス1世という方が作曲した
「ラデツキー行進曲」という曲です。

 

注目してもらいたいのは、お客さんの「手拍子」。
最初の方で指揮者の方が少し手を叩いていますが、その後はお客さんだけで手拍子が続いていきます。

 

なぜそんなことができるのでしょうか?
指示がなくなっても、皆同じタイミングで手を叩けるのは、なぜでしょうか?

 

それは、音楽に「ある一定の時間的な間隔」があるから。
この間隔のことを、「拍(はく)」と言います。

お客さんたちは、この「拍」に合わせて手拍子をしています。

 

ほら、例えば、
アーティストのライブやテレビの放送で、歌に合わせてペンライトを左右に振ったりしますよね。
あれも、「拍」を感じているからできること。

それぞれが自分の好き勝手にペンライトを振っていたら、あんなにキレイに揃いません。
みなさん音楽を “聴いて” その曲の拍に合わせているのです。

 

この「拍」という考え方が、音楽の流れの基本になっています。

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拍子(ひょうし)とは?

その拍を何度も繰り返していると、
だんだんその中にある一定の「まとまり」を感じるようになります。

今度はこちらをご覧ください。


ご存知『千と千尋の神隠し』のエンディングテーマ、「いつも何度でも」です。

 

この曲は、左手で
「ブン チャッ チャッ ブン チャッ チャッ」と
弾くところから始まります。

先ほどの動画の冒頭部分だけを、少しゆっくり演奏してみるとこんな感じ。

この「ブン」も「チャッ」も「拍」のタイミングで演奏されている音です。

 

同じ拍ですが、「ブン」と強く奏でるところと、「チャッ」と弱く奏でるところがあります。

この「強調される拍」と「そうでない拍」が組み合わさることで「拍子(ひょうし)」が生まれます。

 

この曲の場合ですと
「ブン(強) チャッ(弱) チャッ(弱)」が1つのまとまりで、それを何度も繰り返しています。

まとまりの中には拍が3つなので、3拍子と言います。

 

音楽がただ流れているのではなく、
その中にある「一定の間隔」
そしてその「まとまり」を感じていただけたでしょうか。

拍のまとまりとしての「拍子」

拍のまとまりは、3拍子だけではありません。
主な拍のまとまりとしての拍子を、4つご紹介します。

2拍子

2拍子は、先ほどのラデツキー行進曲で使われていた拍子です。
1(強) 2(弱) の組み合わせでできています。
2拍子とは

曲の題名に「行進曲」や「マーチ」と付いていれば、その多くが2拍子。
人が左、右、左、右…と2本の足で行進するための曲なので、2拍子で書かれることが多いです。

 

2拍子ってどんな拍子?と聞かれれば、上記のように答えるしかないのですが、
これでは頭ではわかってもピンとこない。

 

ということで、私が生徒さんに教えるときに使う「拍子を感じる方法」をご紹介します。
椅子に座って簡単にできる方法です。

 

2拍子の場合は、
1拍目(強)→足を踏む足を上げ下げする
2拍目(弱)→手を打つ手を打つ
これだけで大丈夫です。

 

「1、2、1、2…」と言いながらこの動作をすると、文字で見ていただけの時より拍子への理解が深まります。

1を少し強調して、2は少し軽めに叩くと更に2拍子らしくなります。
この「強調」や「軽く」というのは、実際に聞こえる音としてというよりも、自分の感覚として、です。

 

そして、あなたにとって「ピアノが弾けるようになる」ということがゴールであるならば、
騙されたと思って一度試してみてください(笑)

きっとあなたが弾きたい曲を上手に弾くための、近道になることと思います。

3拍子

3拍子は、先ほどの「いつも何度でも」で使われていた拍子です。

 

これは先ほどもお話した通り
1(強) 2(弱) 3(弱)
を繰り返す拍子です。
3拍子とは

3拍子は、ワルツなどの踊りでよく使われる拍子です。
日本の童謡で有名なのは「うみ」「ぞうさん」「ふるさと」など。
ポップスでは2番目によく見る拍子です。

 

それでは3拍子も少し体を動かしてみましょう。

1拍目(強)→足を踏む足を上げ下げする
2拍目(弱)→手を打つ手を打つ
3拍目(弱)→手を打つ手を打つ

 

3拍子はこの繰り返しです。

こちらも、1拍目を強く、2拍目、3拍目を軽く叩くと3拍子らしくなります。

1拍目を足でするのは、それだけ1拍目が特別であることと、
手だけで3拍を表すよりも「強さ」や「重さ」を感じることができるからです。

結局「1拍目がいつ来るのか」が「何拍子なのか」につながってきます。

 

さて、
2拍子や、この後ご紹介する4拍子は比較的理解しやすいのですが、
この3拍子になると「???」となる生徒さんもいます。

 

3拍目の後に何となく時間を取ってしまい、「それだと4拍子だよ」と指摘することもしばしば(^_^;)
自分ではなかなか気づけないようです。

これこそまさに「拍子を感じていない」から起こる現象なのですが、
そんな時は弾く手を止めて、これらの動きを一緒にします。

 

まずは「1、2、3、1、2、3…」と言いながら上記の動きができるようになること。

ポイントとしては、1拍目(足を踏んでいる)のとき、意識的に手を「開く」動作をすること。
手を開く動作

足の動きと同時に手の動きが加わるので、難しく感じるかもしれませんが、結果として手足が同じ時間的感覚で動くことになるので、むしろこの方が上手くいくことがあります。

また、これらの動きの練習では「3」の後すぐに「1」が来るという感覚を身につけます。

 

その後、メロディーをドレミで歌いながら手と足を動かします。
歌がある曲なら歌詞でも◎。

先ほどの動作に「うみ」の歌を付けるとこんな感じ。

とにかく3拍目の音の後には1拍目の音が来る、ということを、手と足と目と口と頭で覚えていきます。

 

これが出来るようになると「3拍子」というものの感覚がわかり、拍子を感じた演奏ができます。

大事なのは、全身を使うこと。
楽譜を見るだけではなく、実際に動いてみることです。

4拍子

4拍子は
1(強) 2(弱) 3(中強) 4(弱)
の繰り返しになります。
4拍子とは

4拍子は最もよく使われる拍子。
選曲にもよりますが、ポップスの本(ピアノ楽譜)1冊のうち、7~8割は4拍子の曲です。

 

さて、これらを体で表すために「足を踏む」「手を打つ」という動作の間に
「膝を打つ」という動作を加えます。

 

1拍目(強) →足を踏む足を上げ下げする
2拍目(弱) →膝を打つ膝に手を乗せる
3拍目(中強)→手を打つ手を打つ
4拍目(弱) →膝を打つ膝に手を乗せる

 

これらの動作を繰り返します。

 

4つある拍の中で、1拍目が一番強く、3拍目が次に強くなります。
2拍目と4拍目は同じくらいの弱さになります。

 

それぞれの拍の強さを意識すると、拍のまとまりを感じやすくなります。
3拍子と同じように、頭の中で思うだけでなく「1、2、3、4、1、2、3、4、…」と声に出しながら動くと、なお効果的です。

6拍子

最後は6拍子という拍子です。

この6拍子、あまり馴染みがないかもしれません。
4拍子や3拍子に比べると、圧倒的に見かけない拍子です。

ですが、初級の楽譜でも時々出会うことがあるので、
一緒に見ていきたいと思います。

 

6拍子は、

1拍目(強)
2拍目(弱)
3拍目(弱)

4拍目(中強)
5拍目(弱)
6拍目(弱)

という2つの部分に分かれます。
6拍子とは

 

この6拍子も、今までと同じようにそれぞれの拍に動きをつけるとこんな感じ。

1拍目(強) →足を踏む足を上げ下げする
2拍目(弱) →膝を打つ膝に手を乗せる
3拍目(弱) →膝を打つ膝に手を乗せる
4拍目(中強)→手を打つ手を打つ
5拍目(弱) →膝を打つ膝に手を乗せる
6拍目(弱) →膝を打つ膝に手を乗せる

 

「6」という数字は、ご存知の通り2か3で割りきれる数ですが、
6拍子では3拍を小さな1まとまりとし、それが2つある、という考え方をします。

なので、6拍子は大きい2拍子と捉えて弾きます。


また後で音源を聴きながら、楽譜を見ながら確認をしますが、
大切なのは「ただ同じ強さで6拍あるのではない」ということです。

 

 

さて、ここまででよく使われる4種類の拍子の感じ方についてお話してきました。

 

実際に弾くときは、もちろんこの「拍の強さ」を感じる必要があるのですが、
楽譜に書いてあるすべての音をこの「拍の強さ」に合わせて強くしたり弱くしたりするわけではありません。

演奏に際しては、もっと大きなまとまり(これをフレーズと言います)を意識して弾くことの方が多いです。

 

実は、最初は曲をただ聞いているだけでは拍を感じることが難しいです。

その理由は後でお話しますが、
まずは楽譜を読む際に「何拍子なのか」を意識して弾けるようになること

それができるようになれば、リズムの正確な理解に繋がり、曲全体の流れも感じやすくなります。

そしていずれは、曲を聴いただけで拍子がわかるようになります。

 

冒頭でも申しましたが、拍子はその曲の性格を決めるようなもの。
たくさん弾いて、たくさん聴いて、その曲の特徴を掴んでもらいたいと思います。

 

音楽の流れを表すための、楽譜のルール

さて、ここからは楽譜の話。

「拍子を楽譜ではどう表すか」を見る前に、
音楽の流れを楽譜に表すための大事なルールを3つほど。

 

➀ 左から右へ

1つ目は、もうあなたも当然のことのように感じておられることかもしれませんが、
楽譜は左から右へと読み進めます。

音楽の流れ

「なんだそんなことか」と思われるかもしれませんが、とても大事なことです。

目に見えない “音楽” というものを、目に見える “楽譜” に置き換えたときの大切なルールです。

 

このルールに当てはめて読むと、右側よりも左側にある音の方が先に演奏する音である、ということになります。

弾く順番

日本語の横書きと一緒で、
右端まで行けば、次の音はその下の段の左端に書いてあります。

楽譜は左から右へ流れる、これが第1のルールです。

➁ 縦が揃えば同時に弾く

次は、➀の「左から右へ」のルールに「縦」の考え方を加えたもの。

両手で弾くことの多いピアノの楽譜を読むためには、絶対に理解しておかなければならないルールでもあります。

 

楽譜は、同時に弾く音は “たま” の縦のラインを揃えて書きます。
そうすることで「これらの音は一緒に弾いてね」ということを表しています。

 

これは、片手で2つ以上の音を一緒に弾く(これを和音と言います)場合でも、
右手と左手を合わせる場合でも、
スコアなど他の楽器等と一緒に演奏する場合の楽譜でも同じことが言えます。

休符と縦のラインが揃っていることもあります。

同じタイミングで弾く音

楽譜をよく見ていただけるとわかりますが、赤いライン上にある音が必ずしも同じ音符の形というわけではありません。

たまの位置が縦のラインで揃っていれば、たとえたまの色や音符の形が違ったとしても
弾き始めるタイミングが同じ音」です。

 

音の長さというのは「弾いた後どのくらい伸ばすか」で決まります。
ですから、「弾き始めるタイミング」が一緒でも「弾き終わるタイミング」が違うことはよくあります。

「一緒に弾き始める音」を知るためには、音符の形やたまの色は関係なく、
「たまが縦のラインで揃っているか」だけに気を付ければよいのです。

 

…実は、このルールをわかりにくくしているのは “ぼう” です。

たまの高さなどによって “ぼう” の向きは使い分けられていますが、あちこちに上向き・下向きのぼうがあることで、たまの縦のラインに目が行きづらくなります。

ぼうに目が行くと、どの音が同時に弾く音なのかが非常にわかりにくくなってしまうのです。

 

楽譜には見るべき箇所がたくさんありますが、その中から
「この情報を得るためには、ここを見ればわかる」
ということを知れば、オタマジャクシたちともっと仲良くなれます。

 

ただ見ているだけではダメです。
あなたがその楽譜から「今知りたい」情報は何でしょうか。
それはどこに着目すればわかるのでしょうか。

 

楽譜において

「弾き始めるタイミング」を示しているのは「たまの左右の位置」であり、
「弾き終わるタイミング(どのくらい伸ばすのか)」を示しているのは「音符の形」であり、
「音の高さ」を示しているのは「たまの上下の位置」です。

そして、

「弾き始めるタイミング」が同じ音は「たまの左右の位置」が揃っています。

つまり、同時に弾き始める音を知りたければ、たまの縦のラインを見るべし、です。

音符とは、これらのことを同時に表している、とても複雑な記号です。

私たちは、楽譜からこれらの情報をそれぞれの項目において、正確に読み取る必要があります。

➂ 「小節」で拍子を表す

それでは最後のルールです。

先ほど、拍のまとまりが拍子だとお話しましたが、
その拍子を楽譜に表すために大切なのが小節線です。

 

数字でもそうですが、

123123123123123

と続けて書いてあるより、

123,123,123,123,123

と書いてある方が、区切りが分かりやすいですよね。

 

音楽では、その区切りとなるのが小節線です。
先ほどお話した「拍のまとまり」を表すために使われます。

 

小節線は、五線を上下に貫く1本の線。
縦線(じゅうせん)とも呼ばれます。

小節線とは

 

小節線から小節線までの間を「小節」と呼びます。
拍子を表すための箱のようなものだと思ってください。

そして小節は、「1小節」「2小節」・・・と数えます。
0はありません。

小節の数え方

 

ピアノで使う大譜表の場合、上段は右手、下段は左手で弾く音を表していますが、
それぞれの五線譜に小節線が引かれるのではなく、上下つながった小節線が引かれます。

大譜表の小節線

この形の大譜表は、上下段とも1人で演奏する場合に使われます。
基本的には、ピアノやハープなどの広い範囲の音を表すための楽譜です。

 

大譜表の場合、上下段を合わせて「1小節」と数えます。
片手だけを示したいときは、「〇小節目の右手(上段)」のような言い方をします。

大譜表の小節の数え方

 

これまで見てきたように、
「音楽」という大きな時間の流れの中に
「拍子」という短いまとまりがありますが、

そのまとまりを楽譜で表すための方法が、「小節」です。

 

「小節」という、小節線で区切られた空間の中に

「拍のまとまりは、いくつか」、
そして「1拍分はどのくらいの長さなのか」、

ということを表したのが「拍子記号」なのです。

 

拍子記号の読み方と意味

それではやっと本題。

 

拍子記号とはどれでしょうか。
今回はこちらの「きらきら星」の楽譜で見てみます。

きらきら星の楽譜

 

最初の小節の、音部記号の右側(調号がある場合は調号の右側)に “分数のような数字” が2つ書いてあります。

これらが拍子記号です。

拍子記号

 

読み方は分数と同じ。
下から「4分の4拍子」と読みます。

また、上記のような大譜表の場合は、上・下段とも同じ拍子記号を書きます。

 

そしてその曲中ずっと同じ拍子であれば、拍子記号は曲の最初だけに書きます。
2段目以降には書きません。

拍子記号が書かれる位置

もし途中で拍子が変わる場合は、変わる小節の最初に書かれ、その小節以降有効となります。
拍子が変わる場合の書き方

 

と、ざっと拍子記号の書き方についてお話しましたが…

「え?数字が2つ?」と思われたかもしれません。

 

そうなんです。

 

大雑把に「拍子」と言うと
拍のまとまりを表す「2拍子」や「3拍子」という言い方になりますが、
正確にこの曲の拍子を伝えるためには、この2つの数字が欠かせません

 

読み方は分数と同じように下から読みますが、
音楽における拍子記号は、それぞれの数字自体に意味があるので
約分はできません

 

では、それぞれの数字の意味とは何でしょうか。

 

まず、上の数字が表すのは、今まで見てきた「拍のまとまり」。

この曲は4拍子です。
拍子記号の上の数字の意味

 

じゃあ下の数字は何かと言うと、
1拍の基準となる音符」を表しています。

ここで思い出していただきたいのは、音符の名前

音符の名前には、それぞれ
「全音符をいくつに分けたのか」ということを表す数字が使われていました。
拍子記号の下の数字は、その音符の名前に使われている数字を書きます。

 

ここには「4」と書いてありますので、
「四分音符」をさします。
拍子記号の下の数字の意味

 

先にお話した通り、読むときは分数のように下の数字から読みます。
この曲は、「分の拍子」です。

 

ということで、この曲の拍子は
1小節(拍子を表すための縦線で区切られた空間)の中に、四分音符4つ分の長さが入る拍子ですよ、
ということになります。

 

「四分音符4つ分の長さ」なので、
「四分音符が4つ」ではなくても大丈夫。

二分音符や八分音符、また休符などと組み合わせて
最終的に1小節の中が四分音符4つ分になればいいのです。

拍子の考え方

実際にそうなっているでしょうか?
先ほどの「きらきら星」の冒頭の楽譜で確認してみましょう。

きらきら星の冒頭

 

まず、最初の1小節目。
右手は四分音符が4つあります。
4分の4拍子の長さになっていますね(^^)
拍子の確認の仕方1

 

では、同じ1小節目の左手はどうでしょうか。

こちらは八分音符が8つあります。
八分音符は、2つで四分音符1つ分の長さなので
四分音符4つ分の長さになります。

こちらも4分の4拍子の長さになっていますね(^^)
拍子の確認の仕方2

 

2小節目。

右手は四分音符が2つと、二分音符が1つ。

二分音符は、四分音符2つ分の長さなので
合わせると四分音符4つ分。

ここも拍子記号と合っています。
拍子の確認の仕方3

 

最後に2小節目の左手。

ここも、1小節目の左手と同じく八分音符が8つ。
ということで四分音符4つ分の長さになっています。
拍子の確認の仕方4

 

今見てきたように、
1小節内で使われている音符の種類は色々あっても、
合計した長さは拍子記号の示す長さと一致しています。

基本的には、どの小節もこの拍子記号の示す長さになっています。

これが拍子記号の意味であり、楽譜の書き方でもあります。

「拍」はどこ?

「拍子」は「拍子記号」として楽譜に書かれていること、
そして拍子を表すために「小節線」で区切られていることがわかりました。

 

では、「拍子」の元となる「拍」はどこに書いてあるのでしょうか?

 

実は、「拍」は明記されていません
楽譜を見て、自分で読み取るものになります。

 

しかも、音もありません

見えない上に聞こえない、けれど音楽の中に確実に存在している、
それが「拍」です。

 

そして、これらが最初のページでお話した
「拍を感じることを難しくさせている要因」です。

ただ聞いているだけでは分かりづらいのはこのためです。

 

では、曲を弾く場合、
どのように楽譜から読み取るのか?ということが問題となってきます。

「拍」を知るためには、音符や休符の長さを注意深く見ることが必要です。

 

また先ほどの「きらきら星」の楽譜に戻りますね。
きらきら星の冒頭

この曲の「拍」を楽譜から読み取ります。

 

基本的に小節の最初にある音or休符は「1拍目」です。

(「アウフタクト(弱起)」と呼ばれる「1拍目から始まらない曲」を除きますが、これについてはまた別のページでお話します)

 

この曲は「アウフタクト」ではないので、小節の最初にある音が「1拍目」になります。

1拍目

 

「1拍」というのは、この曲の場合「四分音符1つ分」なので、
1拍目の始まりから四分音符1つ分伸ばした後、2拍目が始まります。
前のページの➀のルールに従って右へと目を移します。

2拍目のタイミング

 

同じように、1小節目の3・4拍目もそれぞれ四分音符1つ分ずつ右へ。

拍の数え方

この例の場合、たまたま「1拍の基準となる音符の長さ」ですべての音が書かれていたので、「音が鳴るタイミング=拍のタイミング」となっています。

 

ここまでを左手と一緒に見てみます。
➁のルールに従って縦のラインを揃えて見てみると…

ピアノの楽譜の拍の数え方

この赤や青の縦のラインが「拍」のタイミングで演奏される音です。
今見てきたように「拍」はわざわざ楽譜上には明記されていませんが、よく見ると楽譜の中に存在しています。

 

そして、「拍」はこれで終わりではありません。

「拍」の持つ「一定の間隔」は、その曲の間ずっと続きます。

 

4拍子の場合、「1、2、3、4」を1つのまとまりとして、それを何度も繰り返します。
➂のルールに従い、楽譜ではこの1つのまとまりを「1小節」とします。

そして、「1、2、3、4、1、2、3、4、1、2、3、4、…」と同じ間隔で数字を刻み続けます。

拍の数え方

これが「拍」の数え方です。

ここでは2小節目までしか書いていませんが、この曲の最後まで拍は続いていきます。

「拍」は目には見えませんが、確実に音楽の中に存在している大事な要素です。

 

色々な拍子

「きらきら星」は4分の4拍子でしたが、
上下の数字の組み合わせで、色々な拍子が存在します。

主なものを挙げてみます。

4拍子

4分の4拍子 あるいは 4分の4拍子 (どちらも4分の4拍子)

8分の4拍子  (8分の4拍子)

3拍子

4分の3拍子 (4分の3拍子)

8分の3拍子   (8分の3拍子)

2拍子

4分の2拍子  (4分の2拍子)

2分の2拍子 あるいは 2分の2拍子 (どちらも2分の2拍子)

6拍子
8分の6拍子  (8分の6拍子)

 

理論上は、分母になり得る数字と、分子になり得る数字の
すべての組み合わせが可能ですが、それぞれの拍子でよく使われるのは上記に挙げたものくらいです。

 

その中でも特に、それぞれの拍子で先に挙げたもの
(4分の4拍子、4分の3拍子、4分の2拍子、8分の6拍子)がよく使われます。

 

ということで、ここではその4つの拍子について、
曲(音源)と楽譜を見ながら「どんな拍子なのか」確認していきます。

4分の4拍子

まずは先ほどの4分の4拍子。
この拍子は、ポップスでは一番使われると言っても良いくらい、多くの曲で使われている拍子です。

 

4分の4拍子は、数字だけでなくcとも表されることがあります。
どちらも同じ意味です。表記の違いだけです。
4分の4拍子
ト音記号の部分がヘ音記号でも、数字(記号)が同じであれば4分の4拍子です。
この拍子は1小節に四分音符が4つ分入る拍子のことでしたね(^^)
1拍=四分音符になります。
4分の4拍子とは
それでは、先ほど楽譜で見てみた「きらきら星」を音で聴いてみてください。

動画に拍のタイミングを表示しました。
4拍子とはこんな感じの曲です。


余裕があれば、楽譜を目で追ってみてください。

ドレミをふってあるきらきら星の楽譜

「拍子」の感覚が何となく掴めるようになると、
それぞれの正確な音はパッと見で分からずとも
「今どこを弾いているのか」を目で追えるようになります。

それができるようになると、音楽全体の流れを掴みやすくなります。

 

ほぼ同じ間隔で拍が刻まれていること、
そしてそれらが小節という箱の中に、4つずつのまとまりで入っていることがお分かりいただけたでしょうか。

4分の3拍子

次によく使われるのがこの4分の3拍子。
4分の3拍子
これは1小節に四分音符が3つ入る拍子のことです。
ト音記号の部分がヘ音記号になっていても、4分の3拍子です。

この拍子は、1拍=四分音符です。
4分の3拍子とは
冒頭で出てきた「いつも何度でも」は拍に合わせて左手が動いていたので割と3拍子と認識しやすかったのですが、もちろんそういう曲ばかりではありません。

今度の曲はゆっくり。
「ムーンリバー」です。

こちらも右手(メロディ)だけですが、楽譜を載せておきます。

ムーンリバーの拍入りの楽譜

動画を流しながら「今何小節目なのか」を確認してみてください(^^)

4分の2拍子

4分の2拍子は、1小節に四分音符が2つ入る拍子のこと。
4分の2拍子
1拍=四分音符です。
4分の2拍子とは
先ほど4分の4拍子で紹介した「きらきら星」ですが、
モーツァルトが編曲した「きらきら星変奏曲」という曲があります。

こちらは同じ「きらきら星」でも4分の2拍子。
きらきら星変奏曲の冒頭部分
「え、同じ曲じゃないの?」と思われるかもしれませんが…

 

実は同じメロディでも、楽譜を書く人の想いによって拍子が変わることはよくあります。

 

どんな雰囲気の曲にしたいのか、その曲でどんなことを伝えたいのか、そのためには何拍子がいいのか。

 

冒頭でもお話しましたが、「拍子」を選ぶということは、その曲全体の性格を決めるようなものです。
「楽譜を書く側」はこの「拍子」にも、曲への想いを込めています。

 

さて、とは言え3拍子のように違いがはっきりとはわからないかもしれませんが、
2拍子の「きらきら星変奏曲」も聴いてみてください。
雰囲気の違いだけでも感じていただければと思います。

こちらも右手だけですが楽譜を載せておきます。

拍を書いたきらきら星変奏曲の楽譜

4分の4拍子とは、1小節に入ることのできる音符の長さが違うのに気づかれたでしょうか。

8分の6拍子

最後は8分の6拍子。
8分の6拍子
6拍子は先ほどお話したように、3つずつの拍に分かれ、大きな2拍子になります。
そして、分母の部分が「8」なので、1拍が八分音符であることが分かります。

この拍子は、楽譜を先に見ていただいた方が分かりやすいかもしれません。
モルダウの楽譜

この曲で6拍子の特徴が分かりやすいのは、左手。
8分の6拍子とは

八分音符3つを1まとまりとして書かれています。
そして1小節の中にその小さなまとまりが2つあります。

合わせて8分音符が6つありますね。
8分の6拍子の特徴が良く出ています。

 

ちなみに、この曲は「アウフタクト」の曲。
右手が6拍目から始まっていますよね。
こういった「1拍目から始まらない」ことを「アウフタクト」と言います。

 

さて、この後音源を聴いていただきますが、8分の6拍子は「大きな2拍子」として捉えることから、
あまりゆっくりでは弾きません。

「大きな2拍子」としてはゆっくりに聞こえても、実際の「6拍子」として見てみると結構速いです。
1拍が四分音符ではなく、八分音符であることも関係していると思います。

8分の6拍子の曲を弾く時にはテンポ(速さ)にも気を配る必要があることと、
速いながらも「2拍子」の感覚を持っておくことが大切です。

2拍子を意識するために、数え方を
「1、2、3、2、2、3」とすることもあります。

 

これから聴いていただくのは、「モルダウ」という曲です。
クラシックですが、どこかでメロディは聴いたことがあるかもしれません。

3拍子や4拍子とはまた違う「6拍子」を感じていただけたでしょうか。

「拍」に乗っかる「リズム」

「拍」や「拍子」に関しては、
目に見えない、聞こえないものであるが故に、非常に理解や体感が難しいです。
拍のまとまりを感じるためには、やはり体を動かし楽譜を見て、それぞれの拍子に慣れていくことが肝心です。

 

そして、音楽の根底に流れる拍子を体で感じることができるようになると、
リズムの理解が非常に楽になります。

 

なぜなら、リズムは拍の上にあるから。
リズムと拍の関係

上の図を見ていただくとよく分かるかと思いますが、
リズムを理解するためには、まず下にある拍を感じて正確に叩ける(このことを「拍(拍子)を取る」と言います)いることが大前提です。

それができて初めて、上にあるリズムが「どんなリズムなのか?」が分かります。

 

これを無視して書かれているリズムだけに目を奪われていても、残念ながらその正確なリズムを理解できるようになるまでの時間が非常にかかることになります。
(もしくは、あなたはできているように感じていても、実際にはできていない)

問題の根本は、目に見えず、耳に聞こえないところにあるのです。

 

さて、拍と拍子に関しての基本的な概念をお話してきました。
根気強く最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

そして、本題というか・・・

じゃあ実際にリズムってどう読むの?ってところに関しては
こちらで解説しております。

それでは、お疲れさまでした!

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