こんにちは。
ピアノ講師の“やまもりのくま”です♪
ピアノ初心者の方に向けて
楽譜の読み方を解説しています。
今まで音符と休符の読み方について見てきましたが、今日はそれらの周りにある、いろいろな「点」について見ていきます。
楽譜をよくよく見ると、音符のあちこちに「・」がついていることがあります。
古い楽譜だと「印刷ミスかな?」と思うような点もありますが、基本的に音符や休符の周りにある「・」には意味があります。
ポイントは、その位置。
ものすっごーく簡単に言ってしまうと、
上下の「・」=切る
右の「・」=伸ばす
です。
似たような「・」でも、その位置によって真逆の意味になります。
これらの「・」は、音楽に動きをもたらす大事な記号。
この2種類の「・」を見極められ、かつ弾き方がわかるようになることで、楽譜に対する不安はかなり減ります。
「楽譜を読む」という行為で大きなウェイトを占めているのは、「音の高さ」と「音の長さ」がわかるようになる、ということ。
これらの「・」は、実際に弾く音の長さに影響を与えている記号なので、
あなたがお持ちのその楽譜を「楽譜通りに、正確に弾きたい!」と思われるのであれば、絶対に知っておかなければならないお話。
そしてこのページを最後まで読んでいただければ、この2種類の「・」の意味を理解でき、
「・」のある音符をどう弾いたらいいのかがわかるようになります♪
ということで、今日は楽譜にある2種類の「・」について、それぞれ
-
- 記号の名前
- 記号の意味
- 実際に弾く長さ
を、具体例を交えながら見ていきます。
音符の上下にある「・」=短く切る
まずは音符の“上や下”にある「・」。
これらの「・」はスタッカートと呼ばれます。
音符の上に付いていても、下に付いていても同じ意味。
“たま”や音符自体の位置で使い分けられています。
スタッカートの意味は「その音を短く切る」。
「短くって…一体どのくらい?」と思われるかもしれませんが、実はおおよその目安があります。
基本的にスタッカートのついた音は、
「その音の半分の長さ」で弾くことが多いです。
これ私が経験から適当に言っていることではなく、「音楽通論」という楽譜の読み方や音楽の基本的なことを書いてある本にも、はっきりと「その音符の半分の長さ」と書いてあります。
例えば、先ほどのように四分音符にスタッカートが付いていた場合。
頭の中では、まず四分音符を八分音符の長さに置き換えます。
四分音符は八分音符2つ分の長さなので、四分音符を八分音符に置き換えると、八分音符がもう1つ分余ります。
そこはどうするのかと言うと、同じ長さの「休符」に置き換えます。
今回の場合は八分休符にする、ということです。
「スタッカート=短く切る」ことは頭に入っていても、残りの部分が「休符になる」ということがよく分かっていないと、どんどん前のめりな演奏になってしまいます。
ここでも「休符=間を取る」ことが大事になってきます。
スタッカートと短い音符との違い
スタッカートの基本的な考え方としては、「半分の音符&半分の休符」です。
では実際に
- スタッカートのない四分音符
- スタッカートの付いた四分音符
- 八分音符と八分休符
の3パターンを聞き比べてみてください。
上の動画のように、基本的には
「スタッカートが付いた音」と「半分の音符&半分の休符で書いた音」は、結果として弾く長さが同じになります。
「それなら最初から弾いてほしい音の長さで書けばいいのでは?」と思われるかもしれません。
その方が分かりやすいですし、弾く方も迷わなくてすみます。
わざわざスタッカートで書く理由が見当たりませんよね^^;
ですが、本来スタッカートが示しているのは、その音の長さではありません。
音楽の分類では、スタッカートは「奏法記号」と呼ばれ、音符だけでは表せない細かな演奏方法を伝える記号の仲間です。
スタッカートは「短く切るという奏法」を示している記号。
そもそも、音の長さを表している記号ではないのです。
そして重要なのは、その指示された奏法で演奏することで
あなたは何を伝えたいのか、ということ。
その背景にある作曲者や編曲者の意図を汲みながら、です。
つまり、ただ単に「短く切って弾く」ことが目的ではなく、
楽譜を書いた人が
- ボールが弾む様子
- ポツポツとした雨粒の音
- 楽しさ(ウキウキ感)
- 緊張感
- 可愛らしさ
などの、
音が表すイメージを「スタッカート」という記号を用いて表現している、と捉え、
スタッカートが付いた音をそのイメージに合った「短さ」で演奏することが大切になってきます。
個人的には奏法記号というよりも、表現のための記号だと思っています。
その音にどうしてスタッカートが付いているのか、
その音にスタッカートが付いていることにどのような意味があるのか、
その音をスタッカートで弾くと何を表すことができるのか。
そして・・・あなたはその音をどのように弾きたいのか。
最初のころは「切って弾く」だけで精一杯かもしれませんが、
最終的には「スタッカート」という奏法のみにとらわれず、その先の表現へとつなげていってほしいと思います。
スタッカートの特徴
先ほど、スタッカートの弾き方の目安として「半分の音符&半分の休符」とお話しましたが、
実際に弾く際には同じ長さの音符にスタッカートが付いていても、微妙に長さが違うことがあります。
(記号としてはっきりと「スタッカートより短いor長い」記号も存在しますが、同じ長さの音符に付いたスタッカートであっても、必ずしも同じ長さで弾くとは限りません)
音符の部分が半分より短くなれば、休符の部分が長くなり、
音符の部分が半分より長くなれば、休符の部分が短くなります。
合計してスタッカートが付いている音符の長さになればよいです。
しかし、どちらにしろスタッカートは「短い音」を求めているので、基本的に四分音符より短い音にしか付きません。
それから、スタッカートは休符には用いられません。
この2点は、この後出てくる「付点」との大きな違いです。