こんにちは、元中学校音楽科教員・現ピアノ講師の やまもりのくま です。
ピアノを弾くだけでなく、小学生の頃から音楽を創ったりアレンジしたりしたものを楽譜に書いてきました(耳コピもします)。
その経験を活かし、小学校の先生に向けて、教科書に準拠したドレミ付き楽譜を作成しています。
今日は「ペガサス」。
2024年4月から使用されている教科書に、新しく掲載されている曲です。
このページの目次
6年「ペガサス」の楽譜の特徴
この「ペガサス」という曲、さすが6年生とあって、ほぼほぼ「よく見る形の楽譜」になっています。
どういうことかと言うと、演奏順が音楽の記号で表されていたり、強弱やテンポなどの「楽譜で使われる記号」がたくさん書き込まれた状態である、ということです。
教科書で使われている楽譜って、段階を追って楽譜が読めるように作られているので、低学年、中学年あたりまではあまり音楽記号が書き込まれていないんですよね。
あるいは、書かなくて済む楽譜の書き方を採用しています。
それは、私たちには「情報が多いと、どこを見たらよいかわからなくなる」という性質があるため。
意外と楽譜って記号や決まりごとが多く、それを最初から全部見せてしまうと何が何だか分からなくなっちゃうんです。
なので教科書では、最初の方はまず「音の高さ」を読めるように、そして「音の長さ」が分かるように、それからいろいろな楽譜の記号(強弱やブレス、繰り返しなど)が理解できるように、と工夫されています。
この「ペガサス」には、リピート記号をはじめ、演奏順を表す記号がいくつか使われています。
これ、結構わかりにくいんですよね。
下に演奏順が書いてあるので、「あぁこの順番で演奏したらいいのね」ということはわかりますが、「じゃあなんでこの順番なの?」「楽譜のどの記号がそれを表しているの?」というのはぱっと見ではわからないかもしれません。
これから、この曲の演奏順について解説していきますね。
6年「ペガサス」の演奏順について
11番はとりあえず楽譜通りに演奏する
まず、イの小節の最初に、いつも見る小節線(1本線)とは違う【太い線+細い線+点々】のマークがあります。
これは、「リピート記号」と言って、【ここから先を繰り返して演奏してね】という記号です。
ここからいったいどこまでを繰り返すのか?
このリピート記号というのは、対で効力を発揮します。
楽譜内に似たような記号がありませんか?
正解は一番下!
オまで下がります。
オの小節の最後に【点々+細い線+太い線】の組み合わせがありますよね?
イのところにあった記号とは反対向きです。
この向かい合った感じになっている間を2回演奏する、ということになります。
それまでに色んな記号があり、なんだかとても気になるとは思うのですが、とりあえず1回目はアから始まりオのリピート記号のところまでまっすぐ行って、イのリピート記号まで戻ります。
演奏順序 ア→イ→ウ→エ→オ までは大丈夫でしょうか。
22番を歌うときには2番かっこへ行く
ここからがちょっと複雑になります。
先ほどのオのところをもう一度ご覧ください。
オのすぐ下に1.を囲うカッコがあります。
これを1番かっこと言います。
このかっこがある場合、「かっこの前までは一緒なんだけど、最初に演奏するときにはかっこの直前から1番かっこに行ってね。繰り返して2回目を演奏するときにはかっこの直前から2番かっこに行ってね」という記号になります。
つまり、かっこの直前までは1回目も2回目も一緒なんだけど、そこから先は1回目と2回目で演奏する音が違うよ、という場合に使います。
今回もこのかっこがあることから、繰り返す前までは上から順番に来たものの、2番の時にはかっこの直前(エ)から2番かっこ(カ)に飛ぶ必要があります。
ここまでを整理すると、
演奏順序は(1番)ア→イ→ウ→エ→オ→(2番)イ→ウ→エ→カとなります。
3「D.S.」でウに戻る
さあ、ここから複雑になってきます。
カまでで、いったん楽譜が切れていますよね。
ここからどうすんの、と。
ここで注目してほしいのは、カの小節の下のほうにある「D.S.」。
これ、ディーエスとは読みません。
【ダル・セーニョ】と読みます。
このダル・セーニョは、「セーニョ記号まで戻ってね」という記号になります。
セーニョ記号とはどれか・・・というと、ウのすぐ横にある【Sに斜めの棒がささり点が左右に付いた記号】です。
↑ これね。
見つけられましたか?
ということで、カを演奏したあとは、この「D.S.(ダル・セーニョ)」に沿ってセーニョ記号のあるウまで戻ります。
ここまでをおさらいすると、
演奏順序 (1番)ア→イ→ウ→エ→オ→(2番)イ→ウ→エ→カ→(エンディング)ウ となります。
4コーダ記号でコーダに飛ぶよ!
さて、これで最後!
ウを演奏していくと、エのところで【丸に十字】がついた不思議な記号、気になりませんでしたか?
↑ これですね。
やっとこの人の出番が来ました!
この記号は「コーダ」と言います。
この「コーダ」は、1つ目のコーダから、2つ目のコーダに飛んでね!という記号です。
実はこれ、最後にしか機能しません。
というのも、この「コーダ」というのは曲の終わりのことを指すので、楽譜でも最後に使われます。
今までにウやエを演奏してきていますが、その時は完全スルー。
つまり、コーダ記号がリピート記号より前にあっても、最初から効力を発揮するわけではないんです。
このコーダ、相方はどこにいるのかというと、キのところです。
まったく同じ記号がありますよね。
3回目にウを演奏し終えたら、エに行かずに、キに行く。
ということを表しています。
ということで、
演奏順序は、(1番)ア→イ→ウ→エ→オ→(2番)イ→ウ→エ→カ→(エンディング)ウ→カ
となるわけです。
読み解いていくとわかるように、似たような「ここまで戻る」「ここへ飛ぶ」を表す記号でも、「こちらの記号が先に効力を発揮する」という順番があります。
まずは線のところに書かれているリピート記号。
その次に1番かっこや2番かっこ。
ダルセーニョとセーニョ記号がセットで使われたのちに、コーダ記号が効力を発揮します。
楽譜上の演奏順を表す記号は、「いつ」「どのタイミングで」その記号が使われるのか、というのを把握しておく必要があります。
「ペガサス」のドレミ付き楽譜
ここまで6年の「ペガサス」の演奏順について見てきました。
演奏順が複雑な「ペガサス」ですが、新曲でもあるので「ドレミようわからん」というのが実情かと思います。
合奏ではなく歌なので、ドレミは別に・・・という方にはもちろんお勧めしませんが、もし音取り用に「ペガサスのドレミ付き楽譜があったらいいのにな」という場合には、こちらにご用意しております。
楽譜に書かれている記号なども、同じように書いています。
有料にはなりますが、よろしければご活用ください。
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