こんにちは。
ピアノ講師のやまもりのくまです。
今日は、
あなたの知らない耳コピの世界!?耳コピに関するQ&A!
と
耳コピから楽譜ってどう作るの?耳コピの具体的な方法!
の続き。
じゃあ、どうやって耳コピできるようになったの?
耳コピできるようになるために、どんなことをしてきたの?
あなたにもできる?
そんなことについて、お話します!
耳コピできるようになるまでの経過
まずは、私自身の体験談から。
私自身はこちらのページでもお話させていただいた通り、ヤマハのグループレッスンからピアノを始めています。
そのグループレッスンの中では、音当てクイズのようなものがありました。
みんなピアノに背を向けて、1列に並びます。
まずは単音(1つの音)から。
先生が弾いた音が何の音なのかを、ドレミで当てていきます。
こんな感じです。
②ソ
③ミ
それから、3音くらいのまとまりを聴き取ります。
⑵ファミレ
⑶レソミ
そして、その次は基本の三和音。
一度、四度、五度(属七)の和音です。
和音には、1つひとつの和音そのものに名前をつけた「コードネーム」というもの(楽譜の上に書いてあるCやFmなど)と、和音の働きを表した「音度の和音」という2つの表現方法があります。
○度という表現をするときは、その和音がある調性にとって何度に当たるのか、ということを表しています。
(和音に関しては、また詳しく説明しますね~)
こんな感じの和音を当てていきます。
こんなヤマハのCMがありましたが、まさしくこんな感じでした。
…というようなことを、段階を追いながらやっていきました。
もう30年も前のことですので記憶が曖昧ですが(^^;)
大方こんな感じだったと思います。
小学校低学年の頃には耳コピで旋律を弾いていましたし、中学年くらいには耳コピした音を元に、伴奏も付けて弾いていたと思います。
(伴奏付けは、ヤマハのグレード試験というのを受けるために練習していました。昔は今のように演奏コースとかはなくて、合格するには演奏以外の総合的な力も必要でした。)
この音当てクイズは、ずっとしていたわけではなく、小学校低学年くらいまでだったと思います。
その後しばらくは、特別に聴音の練習はしていません。
本格的に聴音の勉強をしたのは、高校の時です。
大学受験に必要になるかもしれなかったからです。
この時初めて、「和声聴音」というのを勉強しました。
ソプラノ、アルト、テナー、バスの四声のからなる和音を聴いて、楽譜に書くというものです。
こんなやつです。
これ、外声は聴き取れるんですよ。
つまり、ソプラノとバスは聴こえる。
でも、内声(アルトとテナー)が聴き取りづらく、最初はとても苦労しました。
弾いてもらえる回数って決まってるので(何回かは忘れた)、その中で聴き取れるようにならないといけない。
でも、どうしても聴こえない。
ドミソの和音で、アルトかテナーにミかソが使われているのは分かるけど、それがどちらなのかが分からない…。
あなたなら、どうします?
この時役に立ったのが、「和声」の知識です。
実は和音の動きというのは、いくつかパターンがあって、それに沿って動いています。
また、「これはしちゃだめな動き」とか、「この形がきたら次はこう動く」などの決まりもあります。
それを知っていると、最初から最後まで全部は聴こえなくても、どこか聴こえた音を元に、和音の動きから検討をつけて聴くことができる。
つまり、モヤモヤとした状態から、確かめ的に聴いていくことができるんです。
不思議と、「この音かな?」と思える音があると、よく聴こえるようになるんですよ。
そして、違ったら違うと分かりやすくなる。
この「和声聴音」をしたことが、私が完コピできる大きな要素だと思います。
今でも、もちろん聴こえづらい音はあります。
何でも完璧にクリアに聴こえるわけではない、というのが正直なところです。
なので、そういうところを知識でカバーしていく、という感覚です。
ちなみに、私が高校の時に和声を勉強したのはこの本
どちらもそう大きく変わるわけではないのですが、「総合和声
とはいえ、(教育学部でしたが)音楽をもっと学びたいと大学で音楽を専攻していた同級生でも、これらの本にある和声の問題には苦戦していましたので、ちゃんと教え手くれる人なしに和声を勉強するのは難しいです。
私なら、独学でやってと言われれば、1ページ目で挫折する自信あります(笑)
ですので、まずは「楽典―理論と実習
この楽典にも和声の勉強とかぶるところはありますし、まずこの本の内容が分からなければ和声は難しいと思います。
耳コピって練習しないとダメ?耳コピができる子の共通点!
と、このように書くと、
「耳コピってそんなにハードル高いの!?」
「私には無理・・・」
と思われるかもしれません(^_^;)
確かに、完コピはハードルが高いと思います。
右手も左手も、ごちゃごちゃとした和音も、全てを聴き取るってやっぱり難しいです。
ですが。
「メロディだけでも聴きとりたい!」
ってことであれば、これは可能です。
しかも特別な練習なしに。
なぜそんなことを言い切れるのかと言うと、うちの生徒さんに耳コピできる子が何人もいるからです。
そして、私は生徒さんたちに、聴音の練習を一切していないからです。
うちにレッスンにいらっしゃる生徒さんは、趣味でピアノを弾きたいという方たちばかりで、コンクールに出るような子は1人もいません。
なので、年1回の発表会のために練習している子がほとんど。
レッスンもゆったりめに進めます。
3ヶ月で1曲も仕上がらないとかザラです。←(笑)
そんなレッスンですが、それでも今レッスンをしている子のうち、半数以上はメロディの耳コピができます。
ですがどの子にも、私がヤマハで受けてきたような聴音のレッスンは、一切していません。
ただし、「これが耳コピができる要因かな?」と思うような、その子たちの共通点はいくつかありますので、ここで挙げてみますね。
②ピアノに触れる時間が、耳コピできない子より長い
③聞いたメロディをピアノで弾いてみる、ということを自然としていた
まずは、①就学前からピアノを習い始めた。
これは、「耳」についてです。
私は耳の専門家ではないので本当かどうかは分かりませんが、「耳は3歳まで」と昔はよく聞いていました。
聴覚の完成は早いと。
で、3歳とまでは言いませんが、耳コピできる子は4歳くらいからピアノを始めていることが多いです。
やはり「音を聴く」という経験を幼少期から積んでいる、というのは大きいと思います。
ちなみに私も4歳からピアノを始めています。
それから、②ピアノに触れる時間が耳コピできない子より長い、ですが、これは「本人がピアノをとても好きな場合」と「親がさせている場合」とがあります。
どちらにしろ、ピアノと言う楽器に触れ、小さいころから音楽を意識して聴いている、という共通点があります。
同じ歳でピアノを習い始めた子でも、耳コピできない子は圧倒的に練習時間が少ないです。
最後に、③聞いたメロディをピアノで弾いてみる、ということを自然としていた、ですが、不思議とうちの生徒さんで耳コピ出来る子は、私から「耳コピしてごらん」というようなことを一切言ったことがありません。
本人から「私、聞いたメロディをピアノで弾けるよ~」と言ってきたこともありません。
じゃあなんで生徒さんが耳コピできるのを知ってるのかと言うと、
「あれ?楽譜もないし習ってもない曲を子どもが弾いている・・・」と親御さんやおじいちゃん、おばあちゃんがお気づきになり、私に教えてくれたから。
「なんか、子どもが聞いただけのメロディをピアノで弾いてるんですよ~!」
って、親御さんの方がびっくりされて、私に教えてくれるんです。
これってまさに、耳コピですよね。
ちなみにうちの長女(小3)も、今ハマっている「ダイの大冒険」のOP『生きるをする』を耳コピで弾いています。
(一応楽譜は渡していますが、楽譜読むより耳コピの方が早いらしい(笑)
それはそれで気になる!!(^^;))
長女の場合で言うと、自分の好きな曲や学校で聴いてきた曲を、「自分で弾きたい」と思ったのが始まりのようです。
そして、「こうかな?あれ、なんか違う?」と、自分で試行錯誤しながら、自分の頭の中にある音楽と実際にピアノで弾いた音をすり合わせる。
「なんか違う気がする」「どの音なの~!?」と言いつつも、あれこれ試しながら弾いていました。
今でも、完璧に耳コピできているわけではないですし、左手で伴奏らしきものをつけるんですけど、それはめちゃくちゃです(笑)
和音合ってないー(^_^;)と思いながら私は聞いています。
左手までは聞けてないようですし、伴奏はやっぱり伴奏形や和音について学ばないと難しいかな?と思います。
でも、メロディだけならできる!
しかも特別耳を鍛えなくても・・・!
と、私にとっても大発見でした。
耳コピができるようになりたい!そのためには?
じゃあ、もう大人になってしまえば耳コピはできないのか???
「誰でもできます!」とは言いかねますが、「大人になってからでも耳コピの練習をすればできるようになる可能性はある」と、私は思います。
今耳コピができない、ということは、
●音を真剣に聴くという経験が少ない
ということだろうと思うからです。
「できない」というよりは、「してきていない」の比重の方が大きいのでは?
誰だって、最初から上手くはいきません。
耳コピには、「これかな?あれかな?」と手探りで音を見つけていく作業は必須です。
私でも、聴こえづらい音は今でも手探りです。
最初から全部完璧に聴こえる人なんて、ほとんどいないんですよ。
耳コピできるかどうかの違いは、
耳にした音楽を「聴く」ということを、今までどれだけしてきていますか?
ということです。
だからね。
もしあなたが「耳コピしてみたいな」って少しでも思われるのであれば。
思い切ってやってみたらいいんですよ。
チャルメラの笛の音でもいい、ファミマの入店の音楽でもいい。
ご自分のカラオケの十八番の曲でもいいんです。
自分が知っている曲を、楽譜から弾いたり聞いたりするだけではなくて、「ピアノで弾いたら何の音になるんだろう」って考えて、実際にあれこれ弾いてみたらいいと思います。
それが耳コピの第一歩です。
んで、それが合ってるか合ってないか分からなければ、耳コピできる人に聴いてもらってもいいと思いますし、私に聞いていただいても構いません。
ちなみに、よく「最初の音がわからない…」って詰まってしまうと思うんですが。
誤解を恐れずに言うなら、「最初の音は何でもいい」んですよ。
ドでもレでもミでもいい。
こちらのページで「絶対音感」と「相対音感」についてお話させていただいていますが、大人になってから絶対音感を身につけるのは結構難しいのではないか?と思います。
(もしかしたらそういう人もいるかもですが)
それは、先ほどもお話しした「耳」の成長の時期があるから。
だから、大人になってから耳コピしたいと思えば、「相対音感」を身につける方が現実的。
相対音感とは、音と音との関係性から音の高さを感じることの出来る力。
つまり、単音で「これはド」とか「これはソ」というのが聴き取れなくても、フレーズで聴けば音の高さが分かるようになるんです。
相対音感であれば、最初の音が何であってもいいんです。
大事なのは、最初の音と次の音がどのくらい離れているのか、それを知ることだからです。
相対的に聴き取れば、全体的な高さは違うことがあっても(難しい言葉で「移調」と言いますが)、メロディは聴きとれるようになります。
(小さい頃からピアノを習ったわけではなくても、耳コピできる方を何人も見てきました)
絶対音感がないと耳コピできない、なんてことはないし、1音1音の音の高さが分からないと耳コピできない、なんてこともないんです。
(ただし、それを楽譜に書くとなるとまた話は変わって来ますが…)
本来、耳コピは子どもたちがしていたように、とっても自由なもの。
完コピのように本格的にしようとすれば、やはりそれなりに耳コピの練習は必要だとは思いますが、
「聞こえたメロディを弾く」のであれば、今からでもできるようになる可能性は十分にあります。
誰でも最初は初心者!
上手くいかなくて当たり前です。
だから、「耳コピしてみたいな」という気持ちがあれば、一度楽譜から離れて、自分の耳を頼りにピアノを弾いてみてください。
ドキドキしますけど…自分で音を紡ぐって面白いですよ(*^^*)